水平思考ゲーム(またはウミガメのスープとも呼ばれる)は、論理的な推理だけでは解けない謎をチームで解き明かす頭脳ゲームです。従来の縦の思考(ロジカルシンキング)とは異なり、既成概念を疑いながら自由な発想を求めるのが特徴です。
このゲームでは、出題者が提示する「不可解な状況」に対して、回答者が**「はい」「いいえ」「関係ありません」で答えられる質問を投げかけていきます。核心に迫る質問が重なることで、やがて「そういうことか!」と納得できる意外な真相**にたどり着くのです。
水平思考と垂直思考の違い
思考法 | 特徴 | 活用場面 |
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垂直思考 | 事実に基づき、順序立てて推論する | 数学・論理パズル・計画立案など |
水平思考 | 仮説を自由に立て、常識を疑う | アイデア発想・広告・問題解決型ワークショップなど |
水平思考は「なぜそうなったのか?」という視点を持つことで、日常では見逃されがちな可能性を浮き彫りにします。
水平思考ゲームの代表例「ウミガメのスープ」
最も有名な水平思考ゲームが「ウミガメのスープ」です。
ある例題をご紹介しましょう。
問題:
男はレストランでウミガメのスープを飲み、自殺した。なぜ?
一見、理解不能なこの状況に対して、回答者は一つずつ質問を投げかけていきます。
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彼は以前にウミガメを食べたことがありましたか?
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スープの中身に異常はありましたか?
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彼の死因はスープの味に関係していますか?
などの質問に「はい」「いいえ」「関係ありません」と返されることで、真相が浮かび上がります。
答え(ネタバレ注意)
男は昔、無人島で遭難し、ウミガメの肉と聞かされたスープを飲まされた。後日、本物のウミガメスープを飲んだところ、以前のものがウミガメではなかったと気づき、自分が人肉を食べていたと悟り、絶望して自殺した。
真相にたどり着く過程で、物語性・人間心理・倫理観など、様々な要素が絡み合っているのがわかります。
水平思考ゲームの効果とメリット
■ 柔軟な発想力が身につく
水平思考ゲームでは、**「答えに近づくにはどう質問すればいいか」**を常に考えるため、柔軟な切り口から物事を捉える習慣がつきます。
■ チームワークの向上
グループで取り組むことで、他人の視点に気づいたり、意見の違いを受け入れる訓練にもなります。
■ 子どもの論理的思考トレーニングにも最適
遊び感覚でできるため、子どもの創造力・推理力の育成にも役立ちます。家庭でも学校でも導入しやすいのが魅力です。
人気の水平思考ゲーム問題集・アプリ
・書籍
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『ウミガメのスープ ブラック』シリーズ
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『水平思考クイズ 99問』など
・アプリ
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「水平思考ゲーム – スープ屋さん」
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「Lateral Puzzles(英語版)」なども利用価値あり
・Webサイト
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5ちゃんねる「なぞなぞ・クイズ板」
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クイズ投稿サイト「LaQ」
オンラインで仲間と共有しやすいのも水平思考ゲームの良い点です。SNS上で「〇〇の謎、解ける?」と投稿して盛り上がる文化も広がっています。
水平思考ゲームを日常に取り入れるヒント
水平思考は、ゲームだけで終わらせるのはもったいないスキルです。
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会議でのアイデア出し
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問題の本質に迫る分析
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書籍や映画の深読み など
**日常の中で「常識を疑う視点」**を持つことで、私たちの思考はさらに豊かになります。
筆者のあとがき 〜思考の枠を壊す勇気〜
人は、見たいものしか見ようとしない。
それが時に、「事実を見失う」原因になることがあります。水平思考ゲームは、そんな思い込みに揺さぶりをかけてくる不思議なツールです。
たとえ間違った推理をしても、そこから新たな視点が生まれる。「間違うこと」を許容できる発想力こそ、これからの時代に求められる力なのではないでしょうか。
現代社会は、答えよりも「問いの質」が問われる時代です。
もし、何かがうまくいかない時があったら、「本当にそうだろうか?」と一歩引いてみる。
その瞬間こそが、水平思考の始まりかもしれません。